2010年5月23日日曜日

森に庭を作る

庭とは、そもそも里山を離れた人間世界での自然を楽しむための憩いの空間です。
禅寺などの庭は、それを極めた自然観をあらわしており、そこに宇宙を凝縮した思想まで求めています。
公園のレイアウトも庭のうちに入ります。人が大勢行き来しいるのですが、なんとなく孤独を感じます。

あえて自然があふれている中に庭をつくる意味とは何か、注文主は誰でもありません、そうすると庭に対する概念が変わってきます。
以前は人が自然を求めていると思っておりましたが、最近は自然のほうも人を求めているのではないのだろうかと感じることがあるのです。
私たちは通常、自然を含め地球や宇宙は、確かにある種の法則が存在しているとはいえ、人格や意思など持たない、いわゆる自動的に成り立っている存在だと思いがちです。

森で生活するうちに湧き出てくる考えは自分のものだろうか、それとも自然がこの様にせよと私の考えに介入しているのかどちらか分かりません。
ただ、森に庭をつくることは、我々文明人の所有に対する概念を変えるきっかけに成ります。自分のものではないことに没頭する内に、この世界は全て自分とつながっていることに気がつくのです。

直感的にですが、この作業は箱庭療法のように現代人の精神を治療する療法になると確信しております。
岩場など蔦が多い茂り、そのままほかっておくべきか迷いますが、岩場がむき出しの箇所では何らかのメリットが人を含め自然にとってもあるようです。実験中ですが、たとえばその周りに花壇を作り常に管理していれば蔦は広がりません。
ここの山の土には堆積岩(チャート)のかけらが半分近くあるため、ふるいに掛けて土をつくっています。

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