2010年4月28日水曜日

初日後半、足場作り

足場作り(2010.第一回のワークショップにて)
はしごを作ってから、すぐに足場作りの作業に取りかかりました。
足場の材は既に切り倒してある間伐材を使います。
これを幹の又の箇所に渡し、なるべく水平になる様に幹に縛りつけます。
結束の縄はかなりの量を使います。棕櫚縄より麻縄を用いましょう。

昨年作ったツリーハウスの場合は、この足場をそのまま骨組みとして使いました(後から調整のため数本間引きましたが)。そしてその足場を利用して、次々と骨組みを上方へと継ぎ足していきました(詳しくはこちらから)。
単純なパターンに従って組んでいきましたが、その間隔などはどランダムというか自由です。そのため作る楽しさは増すのですが、慣れるのにはたっぷり1日かかってしまうのです。

今回は、前回の様にしていたら時間もかかり、慣れたころに夏が来てしまいます。
雨期明けまでには、ほぼ樹上で作業をしている状態がベストです。
今回は、骨組みの設計をある規則性にしたがって起した上で取り掛かろうとしています。そうすることで作業性を早めることができ、また骨組みに付随する床や屋根などを比較的容易に施すことができると見ているからです。

そのため足場は、あくまでも樹上で安全に作業できる空間を確保するものです。本来の骨組とは別になるため仮止めですが、しっかりと固定せねばなりません。
ここで、その当日に行なった状態を絵図で示しておきましょう。そうすることで作業のパターンを明確にすることができます。

図は、地上2メートルほどの樹上の平面図で、それぞれの幹の断面とそこに掛かる足場の材を示しています。
図中一番太い幹は檜で近い内に伐採する予定なのでなくなります。そうすると中央にかなり広い空間が確保できます。それでも2本の幹がハウスを突き抜けることになります。

足場はこの様に三角形を作りながら作業スペースを広げていきます。安全を確保するため、三角形のスペースが大きくなるようでしたら、後にもう一本材を通して分割します。
三角の格子パターンを念頭に置いて足場を渡していくと楽です。

次回は、この樹のたもとで材の加工を行います。
その前には、一度で出向いて足場の悪いところを整備しておかねばならないようです。
また、この地点までと40mほどの電源ケーブルを設置して準備しておこうと考えています。

2010年4月27日火曜日

初日後半、はしご作りと足場作り

午前中伐採した樹は、この地域では昔から炭の材料に使われていたそうです。幹の直径はがおおよそ10cm前後のもが多く、約20本ほど切りました。樹の名前は分かりません。
渥美半島には、ヒメユズリハカクレミノヤブニッケイモチノキなどの照葉樹が生えているそうです。そのうちのどれでもありません。
※後日(5月5日)詳しく調べた結果、その樹木の名前が判明しました。ヒサカキです。

2人だけなのでこのような作業は午前中で切り上げ、ほどほどで先の工程に進むことにしました。
先ずは、樹の上に登るためはしごを作らなければなりません。

はしご作り
出典:いたるサイトで掲載されているため出所不明
基本的な作り方を紹介します。
パプアニューギニアの原住民が作るツリーハウスのはしごです。
我々文明のものとは違い縦に3本用意するところが特徴です。
もっともシンプルで安全です。
ここにその写真があります。拡大してよく見てみると分かります。

真ん中にもう一本入っています。
このほかに、18世紀の西欧人が描いたイラストで同様のものを見たことがあります。
最初は分かりませんでしたが、この3本は大変理に適った働きをします。
横木の結束部の一箇所がはずれても、後の2箇所で難を逃れることができるからです。
作り方はいたって簡単です。一応参考のため基本的なサイズを示しておきましょう。

高さはツリーハウスの入り口までにして適当に決めておきます。
幅は、自然に腕を伸ばしてつかむ位置、肩幅より若干あります。
ここでは60cmにしておきました。
横木の端部は足をかけてもはずれない長さ。
ここでは15cmにしておきました。
よって、横木は90cmです。
横木の間隔は踵からひざまで、ここでは子供も登ることも考慮し、45cmにしておきました。

横木と縦木との結束は、棕櫚縄を水で浸して充分引き伸ばし、締め付けながら結束します。
ここでは、作業を早めるのと補強のためインパクトドライバーでネジ締めを行いました。

脚の接地箇所は最終的に腐食しないように大きめの石を埋め込んでその上に固定するのが良いでしょう。

2010年4月26日月曜日

ワークショプ初日

ワークショップの初日です。

現在、参加者はたったの2名です。
ミクシイや地元の市民団体のポータルサイトで募集しましが、約2週間前にお知らせしたので遅かりし感じでした。
フリー雑誌や新聞などに載せてもらうには一ヶ月前から取り掛からなければなりません。今回この手はあきらめておりました。それでも前日には何とか地元の新聞(東海日日新聞)に載せてもらえました。
しかし、ここ東三河からの問い合わせは何もありませんでした。

参加者の方は名古屋と大阪の方。あいにく大阪の方は次回参加で、当日は名古屋から来たHさんと始めました。

暖かい日です。今年1番です。始めるには時期的に既に遅いかと思っておりましたが、ちょうど良い気候となりました。異常気象で新緑も前年より遅れております。まだまだこの異常は続きます。今年の夏も油断できません。
目的とするツリーハウスの主木が決まりました。写真中央の複数の幹が扇状に延びている樫の樹です。
ツリーハウスにするには最適です。根元付近から低い位置で幹が分かれており、初心者向きです。
しかも周りを整備すれば海も見えます。
写真は少し明るめなのですが、実際ここは日があまり射さしません。周りはうっそうと木々が所狭しと散在している薄暗いところです。
おまけに、主木の脇にはかなり大きなヒノキが聳え立っています。写真では幹の影に隠れてかすかに見える程度ですが。

この場所は、森の整備作業を行なう最前線に位置しています。
私が以前取り組んだツリーハウスのあるところは40メートルほど下ったところにあり、既に数年前に整備されいたため作業は快適にできます。それに電源ケーブルさえも届いています。
しかし、ここでの作業は困難極めます。蔦が地面を這い、その下に岩が転がっており歩くのにさえ不安定です。さっそく私は当日蔦に足をからませ転倒してしまいました。

雨期を過ぎてもこの未整備の状態だと、ここには数分とじっとして居られません。蚊が大量に発生するからです。それまでには、周りを整備して風通しを良くし、日を燦々と入れて環境を変化させねばなりません。
間伐すべきほとんど木はモヤシのようにひょろ長くまっすぐに延び、かすかに日の入る空間を求めて上空で枝を広げています。このような樹は常緑樹なので日陰でも比較的たくましく生きていけるのです。ここではそれらの木々が大半を占め他を寄せ付けない感じです。よってその下の植物は蔦類が独占し地面を覆いつくしてます。

この日午前中は2人でこの樹の周りで間伐作業を行ない骨組みとなる材料を集めました。

2010年4月7日水曜日

ワークショップのお知らせ


'10年 夏の ワークショップ (2010/6/15)更新)
現在の制作過程(足場を組む)


ワークショップの内容

ツリーハウスは目的に応じて様々なタイプがありますが、やはり日本に適して、しかも手軽にできるものがいいです。
ですから、ハウスを樹に固定する方法にGL工法などありますが、そういった樹に穴を空けるやり方は使いません。
専門的な技術がなくても、DIY感覚できるものを用意しております。


ツリーハウスの骨組みには、レオナルド・ダ・ヴィンチが発案した
グリットを応用します。その骨組みは籠のようになっているので複数の幹に荷重を分散させて固定していきます。
よって必ずしも大きな樹でなくても制作できるという利点があります。骨組みは間伐材を利用します。その分コストの削減、荷重の軽減につながります。

元々森の整備と保全によって出た間伐材を有効利用するためこのツリーハウスを思いつきました。
現在私が活動している森では、主な材料を現場で調達しながらツリーデッキやツリーハウスを作って森林の整備を進めています。

このたびのワークショップではシステム型ランダム型を用意しております。
【システム型】
今回は直径3mを予定しています。あらかじめ材の加工マニュアルを用意します。太さ8cmほどの樹を伐採後、加工して樹上で組み立てます。そのためチェーンソーなどの危険な工具は使いません。機械といえばインパクトドライバーによる穴あけとネジ締めぐらいです。その後、骨組み以外の重要な箇所である床や屋根の取り付けを行います。
ランダム型】についてはこちらをご覧ください。



1)第一段階
山の間伐材を利用してツリーハウスの骨組みを作ります。最初は間伐作業を行います。地上から出ている細い幹を伐採します。 道具の扱い方を指導します。

2)第二段階
ツリーハウスを作る樹に
はしごをかけます。高さ2~3mほど。
はしごも間伐材を組んで作ります。
そのため縄の結び方や工具の扱い方を指導します。
その他、ツリーハウスの
骨組みとなる材料作りを行います。
3)第三段階
樹上にて
骨組みの組立作業を行います。
樹上では安全ベルトを着用し、危険管理と対処法を指導します。
骨組みはユニット形式となっているので、地上にてパーツを組み立てます。

4)第四段階
樹上にて
床作りを行います。床を確保することで作業性と安全性が高まります。
その上に仮の足場を組み、側面や上部の骨組みの組立作業を行います。

5)第五段階
屋根作り。屋根は、雨よけの板(野地板)とそれを貼るフレームからなります。
この日は、フレーム作りを行ない、骨組みに取りつけます。
それから、野地板の加工を行なっておきます。
それと平行して、骨組みの結合部を縄で結束して補強します。

6)第六段階
屋根作り。野地板を貼り付けます。屋根の取り付け。
それと平行して、野地板の加工を行ないます。
窓作りを行います。この窓は、上部へ開閉式のひさしにもなります。


そのほかの2次的な要素である壁面。窓等のアレンジできる範囲は参加者の創意工夫に委ねます。
※ワークショップの主催は私の所属している市民団体(とよはしアートユニット)です。
※ 内容などは予告無く変更になる場合がございます。予めご了承ください。


スケジュール・参加費詳細
制作指導(とよはしアートユニット、村田弘志)


■ 期 間:2010年 7月~9月 毎週日曜日(午後より)

■ 会 場:ゆずりはの森
愛知県田原市野田町スルゴ 71-1
               マップ・交通アクセス詳細

■ 参加費:1日 1,000円 、1日のみの参加もOKです。


傷害補償:豊橋市在住の方のみ対象となります。 

■ 各自用意するもの:剪定用ノコギリ・剪定ハサミ(いずれもベルトに取り付け可能なもの)、作業用手袋バンダナ


■ 対 象:ツリーハウスを制作する意欲のある方


■ 
時間割スケジュール(雨天の場合は中止です)
13:00 ワーク
15:00 休憩・おやつ
15:30 ワーク
17:00 解散


ゆずりはの森地図。


●問い合わせ・見学・参加希望の方は、CONTACT FORMよりお気軽にご連絡ください。



主催:とよはしアートユニット

2010年4月6日火曜日

狸と出会う帰り道

昨日は、ツリーハウスの屋根の補修に行きましたが、その作業は少々。
むしろ、近い内に行なうワークショップの準備をしなければと思い、最終的な詰めを確認しに行きました。今から準備すると間に合うかどうか、何とか7月中には一基作り上げる集中コースを考えているのです。

この日は暖かく晴れており、他に行なったことはたくさんありました。

その一つに、花やハーブをツリーハウスの周りに植えつけたことです。
大変のんきそうですが、これには、訳があります。
以前この森で、この山の山道を作った人に遇った時のことです。
その人が、昔棚田だった跡を指差して、あそこに花畑を作ったらよかったのに、とつぶやいていたのを思い出したからです。

その当時は、花を山の中に植える発想には若干戸惑いがありました。ガーデニングの発想が山の中までついてこなかったのです。
私は、ほとんど登山やトレッキングなどしたことがありません。だから山道に野の花ぐらいがあるのは想像できますが、あえて人が人為的に花など植えることにどんな意味があるのか、そのときは分かりませんでした。

誰でも自分の庭には花を植えたり、庭を美しくしたいと願います。
しかし海や山はどうも違います。
このあたりの海もゴミがかなり漂着しています。山の谷にはゴミの廃棄物がかなり埋まっています。
この違いは大変大きいです。

環境問題だけではありません。自分の家族・収入先・そのお客さんさえ安泰ならばすべて良し、といった発想が広がる中、人はますます小さな庭に固執してしまいます。
このような内と外とを分け隔てている境界とは一体なんだろうか、つくづく考えてしまいます。



この日、他の作業を済ませて帰ろうとしたときには、既に日は落ちていました。あたりは薄暗くなっています。
山道を下る足取りはゆっくりでした。
かなり遠くで不気味な動物の鳴き声が聞こえてきます。
ウシガエルの息を荒くしたような感じです。掻き分ける音と共にその鳴き声は大きくなり、こちらに向って来るではないですか。かなり早いスピードです。

驚き、一瞬立ち止まり、私を通り越して行くのでは、と思ったその時です。

向うも気付いて急に立ち止まり、こちらを見上げました。狸です。
前後間隔をおいて2匹います。後ろの狸が前のを追いかけていたのでしょう。
私は思わず、前方の狸に「こんにちは」と挨拶してしまいました。
狸の方は、私を見ながらゆっくり後ろに首をまわすと一目散に反対方向へ駆けて行きました。

これから暗くなると森は彼らが活動する舞台となります。そのことを思うと我々人間は招かれているとはいえ、昼間の一時的な訪問者です。
森や山は様々な生き物の住まう世界であり、共有の場所です。
我々はその山の中では他の生物のように自力ではとても生きていけません。食料や水、電気などそのほとんどを外部から持ち込まなければなりません。

生き物の住む森や山と人間社会は大きく隔たっています。
その隔たりはすべて人の意識の深いところにあるような気がしてなりません。

2010年4月2日金曜日

ワークショップの準備

今年こそは、ワークショップを行なおうと考えています。
昨年も考えてはいたんですが、いまだにツリーハウスの屋根の補修もままならず、落ち着いていない状態です。
しかし、こちらの方は片隅に置いておいて、普及型の骨組みを以前から思案していました。

色々なタイプの骨組みが、以前私が作った模型であります。これならば短時間に組立ができるのではないかと確信が持てるものを見つけました。
最初は完全なジオデシック理論によるの球形をイメージしてました。しかし、それでは設計に時間がかかりそうです。組立も初心者には困難です。さりとて、あまり簡単すぎると小さくなり、構造的に弱くなってしまいます。

そこでジオデシック理論の良き点であるユニット形式を用いつつも、構成する材の種類が1種類となるような単純な形態を選びました。
幾何学的に菱形30面体というタイプです。別名ケプラーの30面体とも言いますが、より詳しくはゾーン多面体であって、フラードームの原型とは異なります。

幾何的なことはこの程度にして、肝心の骨組みのかたちをお見せします。
図は骨組みの基本形とその核となる多面体です。
しくみは、面体30面に沿って軸を平行配置することで出来上がります。
ダヴィンチグリットの変容型です。
ここまでは設計してあるので、後は組立のマニュアルを作っておこうと考えています。
直径2.5mほどの籠が樹上にできることを想像してみてください。
しかも、今度は2・3日で組み立てることを目指してます。
骨組み60本
菱形30面体