2010年4月6日火曜日

狸と出会う帰り道

昨日は、ツリーハウスの屋根の補修に行きましたが、その作業は少々。
むしろ、近い内に行なうワークショップの準備をしなければと思い、最終的な詰めを確認しに行きました。今から準備すると間に合うかどうか、何とか7月中には一基作り上げる集中コースを考えているのです。

この日は暖かく晴れており、他に行なったことはたくさんありました。

その一つに、花やハーブをツリーハウスの周りに植えつけたことです。
大変のんきそうですが、これには、訳があります。
以前この森で、この山の山道を作った人に遇った時のことです。
その人が、昔棚田だった跡を指差して、あそこに花畑を作ったらよかったのに、とつぶやいていたのを思い出したからです。

その当時は、花を山の中に植える発想には若干戸惑いがありました。ガーデニングの発想が山の中までついてこなかったのです。
私は、ほとんど登山やトレッキングなどしたことがありません。だから山道に野の花ぐらいがあるのは想像できますが、あえて人が人為的に花など植えることにどんな意味があるのか、そのときは分かりませんでした。

誰でも自分の庭には花を植えたり、庭を美しくしたいと願います。
しかし海や山はどうも違います。
このあたりの海もゴミがかなり漂着しています。山の谷にはゴミの廃棄物がかなり埋まっています。
この違いは大変大きいです。

環境問題だけではありません。自分の家族・収入先・そのお客さんさえ安泰ならばすべて良し、といった発想が広がる中、人はますます小さな庭に固執してしまいます。
このような内と外とを分け隔てている境界とは一体なんだろうか、つくづく考えてしまいます。



この日、他の作業を済ませて帰ろうとしたときには、既に日は落ちていました。あたりは薄暗くなっています。
山道を下る足取りはゆっくりでした。
かなり遠くで不気味な動物の鳴き声が聞こえてきます。
ウシガエルの息を荒くしたような感じです。掻き分ける音と共にその鳴き声は大きくなり、こちらに向って来るではないですか。かなり早いスピードです。

驚き、一瞬立ち止まり、私を通り越して行くのでは、と思ったその時です。

向うも気付いて急に立ち止まり、こちらを見上げました。狸です。
前後間隔をおいて2匹います。後ろの狸が前のを追いかけていたのでしょう。
私は思わず、前方の狸に「こんにちは」と挨拶してしまいました。
狸の方は、私を見ながらゆっくり後ろに首をまわすと一目散に反対方向へ駆けて行きました。

これから暗くなると森は彼らが活動する舞台となります。そのことを思うと我々人間は招かれているとはいえ、昼間の一時的な訪問者です。
森や山は様々な生き物の住まう世界であり、共有の場所です。
我々はその山の中では他の生物のように自力ではとても生きていけません。食料や水、電気などそのほとんどを外部から持ち込まなければなりません。

生き物の住む森や山と人間社会は大きく隔たっています。
その隔たりはすべて人の意識の深いところにあるような気がしてなりません。

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