ツリーハウスとは

ツリーハウスの定義
 広い意味で、生きている樹と共に存在する建物のことをいいます。
樹を土台(基礎)にしなくてもよく、木に寄りかかっていてもよいのです。
要は、樹なくしては存在しえない人の住処。
屋根などのないベランダでも、樹に寄りかかり樹があってこそ成り立てば、それでツリーハウスの範疇に入ります。その場合、ツリーデッキと呼ぶこともあります。

ツリーハウスの魅力
生きているものに依存しているということ。樹や森そして自然との共存意識を体験することがツリーハウスの魅力です。

樹の上で、樹といっしょになって時を過ごすと、人間は自然の一部なんだ、ということをしみじみと感じることができます。
日常の煩わしさや、雑踏からも隔絶され、なんともいえない非日常感に癒されます。
同時に、人間以外の存在に目を向けてこなかったことに気付かされます。
支えてくれている木はどう感じているのだろうかといった、まったく今まで意識していなかった感情がわきあがってきます。
そうやって徐々に地球とつながる意識が芽生えてくることが最大の魅力なのです。

このような意識が広がると、森や山そして地球に対しても同じような感情がよみがえってきます。
今、人類は人間中心の意識を変える必要に迫られています。
明日を共に生きるための絶対に必要なつながりがそこにあります。

ツリーハウスに向いている木の種類は?
カシやナラなどの堅果類の木、すなわちどんぐりの樹(西欧ではオークOak)がもっともふさわしでしょう。
どんぐりの樹ほど重く長い枝を伸ばしても無事に維持できる樹木はほかにありません。
植物の根部と地上部との比率は、樹の持久力を大まかに表わす方法でもあります。地上部の成長が大きくて根部が小さいと、その樹は木質が弱く短命になりがちです。
根部と地上部の比率が1を超える若木は少なくて、ほとんどの木は1未満だそうです。つまりほとんどの木は、地上部分の質量が地下部分の質量を上回っています。これに対してどんぐりの若木は、平均比率が4から6の間で、中には10以上の比率をもつものもあります。
大量に根をおろし、地上部がゆっくり成長する樹は、寿命が長く、応力やひずみに対する抵抗力も強い傾向があります。
そのため、どんぐりの樹は他のどの樹よりもツリーハウスの重みやひずみに対して耐えることができるのです。

なお、こではダヴィンチ・グリットによるツリーハウスの場合についてご紹介しましょう。
おおよそ、鳥が巣を作る場合を思い出してください。
必ずしも、太くて樹齢のある太い樹である必要はありません。
樹が細くても幹が複数あれば制作は可能です。

軽量で柔軟な構造が特徴のこのツリーハウスは、その複数の幹に支えられ維持できます。
もちろん、立地条件、幹の力、ハウスの大きさ等のバランスを取ることが重要です。
よって、基本的にはどんな木でも制作は可能です。
ただ、桜や梅のように、もともと脆い木は、このツリーハウスにも向きません。

木によってツリーハウスの作り方は異なるか?
これについても、多くのサイト書籍が扱っているので一般的な内容は省略し、
ここではダヴィンチ・グリットによるツリーハウスの場合についてご紹介します。

ダヴィンチ・グリットによる場合
基本的にはどんな樹でも作るパターンは一定です。
グリットのユニットは三角形で、それを連結することで全体の形状が出来上がります。
ダヴィンチ・グリットによる骨組みの構成パターンには、幾何システムを組み込んだものと、それなしにランダムなものとの2種があります。

前者はツリーハウスの形状をあらかじめ決め、部材もその設計にしたがって用意した上で制作する方法です。後者は、樹上で幹の張り具合に応じてユニットを自己調整しながら連結して構造を組む方法です。前者をシステム型、後者をランダム型と呼びましょう。
どちらも長・短あり、材料や人・ハウスの規模・用途そして機能目的等に左右されます。
昨年、制作したツリーハウスは後者のランダム型です。その内容は
過去ブログをご覧ください。

【システム型】
長所は、
あらかじめ部材を設計して加工できるため、樹上における作業がランダムタイプの同規模に比べ大幅に短縮できます。
窓や、屋根といった2次的な部材も設計して作ることができるため、取り付けが収まり易くなります。
骨組みに平行の部材が組み込まれているため窓や、屋根などの設計が楽です。
短所は、
材料を現場調達とするならば、一定の太さと直線の長さを有する材を確保することに時間と人手がかかります。
機械加工した規格材があれば、最適ですが、その分材料費がかかります。
形は球形に近似しますが、設計上引き伸ばすこともできます。ただランダム型のようにかなり自由にとは行きません。

polyaxses based on geodesicsphere
ジオデシックな軸組み構造

出来上がってから、実用的な方はシステム型です。その分ランダム型よりコストはかかります。

設計では様々な形状が可能ですが、ここではダビンチグリットによって球形のジオデシックドームを参考に載せておきます。






ジオデシック理論を使うことで、部材の種類を最小限に抑えることができる他、労力を軽減し作業効率を高めることができます。
設計には、専門知識が必要です。それにプログラム作成に時間がかかります。

しかし、部材制作やその組立は、初心者でもマニュアルに従えば容易にできます。さらに作業効率がよいため、前者に比べ短時間に制作が可能です。
ただし、形状が球形であるため、ランダム型に比べ適した樹の選択範囲は狭くなります。
※設計図は追々ウェブ上でダウンロードできるようにしておこうと考えています。

【ランダム型】
両者とも単純なパターンの繰り返しで骨組みを組んでいくのですが、ランダム型は設計もなしにおおよそのあんばいで組んでいきます。


樹形にあわせた形状
長所は、
樹の樹形に合わせて枝や幹にはまり込むように組んでいくことができるので、こういうのが好きな人にはお勧めです。
パターンを体でマスターしてしまえば、作業は前者よりも楽しいと思います。
材料の太さや長さなどあまり厳密に選別する必要がないため、材料を現場調達するなら楽です。
短所は、
パターンをマスターするまで、意外と単純なのですが、ほぼ丸1日かかると思います。
それから、樹上で組んでいくため前者と比べたらはるかに時間がかかります。
時間と人手がたっぷりある場合はこちらのパターンが良いでしょう。
窓といった開口部に平行的要素がないため通常の窓枠の取り付など困難です。

屋根も同様、板葺きやトタン葺きなど波打ってしまいます。その感じ・趣が良いとも受け取れますが、しかっり雨漏りがないかチェックがまめに必要です。