2010年10月29日金曜日

ドームパーゴラ

先日10月27日、ドームパーゴラを設置しました。
前日から組立に取り掛かり、夕方にはすぐ暗くなったので早めに切り上げ県民の森のバンガローに泊まることにしました。
この日の晩をさかいに気温は急激に冷え込み、冬に入っていきました。



 作業は全体的にさほど難を感じませんでしたが、最後一番上の部材の接合はきつすぎてかなり手こずらされました。径80ミリの材は太いほうなので、今後はやはり65ミリにしていくべきだとつくづく思い知らされました。
このくらいの人力で行なう構造の組立は、基本的に素手の力で微妙にしなる材寸が大切です。それから今回の接合はまったく余裕なくピッタリの孔を開けておきましたが、ねじ込む方の孔は別として、通し孔の方はコーチスクリューがかなりぐらつくほどの遊びのあるくらいの余裕で空けておくべきでした。

実物は2011年の3月末まで設置されています。
ご興味のある方は是非訪れてみてください。県民の森はかなり広く、自然を満喫するには充分すぎるほど環境が整っています。
展示場所へのアクセスは、とよはしアートユニット参加の「きてみん!奥三河」というイベントで詳しく紹介されています。http://t-artunit.blogspot.com/2010/10/blog-post.html


このパーゴラドームは後々搬出されますが、そのときは私の事務所兼アトリエの庭にでも設置を考えています。
そのために今からつるバラをはわせるイメージを膨らませているのです。
バラに関してはまったくの素人ですが、このたびも天使の導きがありました。

「生徒に準備ができたとき、教師が現れる」という格言があります。
現場近くのお鮨屋さんを訪れたとき、もうすでに真っ暗でしたが、お店の女将さんが店の周りをライトアップしてバラのお庭を見せてくれました。
何と150種のバラが育てられており、感動と驚きでした。
翌日パーゴラにふさわしいバラのことを教えていただき、感謝・感謝・感謝です。
奥三河を訪れた際は是非立ち寄ってみてください。鮨処つかさです。


※組立工程についての記載は次回にまわしたいと思います。

2010年10月25日月曜日

ダヴィンチ・グリットによるドームパーゴラ

ツリーハウスの方をお休みにしている間、パーゴラ作りを進めていました。
ダヴィンチ・グリットによるドーム状のパーゴラです。

以前からその案は暖めておいたのですが、その意思も機会もなく、結局10年近くほったらかしでした。
グリットによる球形の基本設計は実験の過程で残っていたのですが、それも10年も前のものです。
今回、その幾何解析に至るまでの思考を取り戻すのに時間がかかり、設計の調整にはかなり苦労してしまいました。
そのため、納期まで時間もなく、丸太杭で注文というより、径も長さも指定した丸棒で注文せざるをえず、材料の調達には多大な出費がかかってしまいました。

今回設計に時間を割いたのには、球形のダヴィンチ・グリットのシステムをある程度明確にしておこうと考えていたからです。
後々、ツリーハウスに転用した際、その部材加工のデータをサイズに合わせて算出でき、皆さんに公開できればよいかと思っています。

今回、使う部材径はφ80mmと60mmの二種です。次回行なうときは、丸太杭を使う予定です。それなら安価にできます。
部材径も、設計に時間をかけて調整し、標準サイズのφ65mmに統一すれば、加工や接合の作業量もぐっと軽減できるでしょう。

部材径φ80mm
治具に固定しながら墨付け、穴あけ

塗装途中
今回、設置は公園であり、アート性に遊具性も兼ねるため、その着色はかなり目立つ赤と緑でおさめました。
塗料は植物系のバトンと緑はキシラを使用。
バトンは初めて使うので様子見です。
一方のキシラはとても環境には有害だと感じました。
作業場の隣の樹に鳩が巣を作っていたのですが、塗り始めた途端にいなくなってしまいました。鳩にはすまない気持ちでいっぱいです。かなり匂いが強く嫌悪感を感じます。
その点バトンの方はさほど嫌な匂いはしません。

2010年10月22日金曜日

ワークショップでの骨組み

先月(9/19)のワークショップで行なったことは、ある程度記録しておいたのですが、下書きで保管したままですっかり忘れていました。約一ヵ月後になりますが、まとめておきましょう。

当日は、ランダム型の骨組みのパターンを行なってみました。
この方法は実に本能的です。設計図や寸法を測るような前段階を踏まず、直接樹に挑んでいきます。
どんなかたちのツリーハウスになるかは最初から明確に分からなくてもかまいません。おおよそのビジョンがあれば取り掛かかってよいのです。ツリーハウスに適した樹であれば、最終的なかたちは幹の張り具合が決めてくれます。

とはいっても、始めるにあたっては骨組みの原理や組み方・しくみなどの知識や技術が必要です。
今回はこの実践を中心に行いました。
過去ブログではこの骨組みの組み方を試行錯誤で見い出しておりますが、今回ワークショップを機に整理し、順序だてて説明しておきましょう。

図1で示しているように、おおよそ樹の高さ1/3
がハウスの中心だと無難です。

取り掛かりが一番困難かと思います。というのは、何の足場や支えもないところから始めなければならないからです。
ダヴィンチ・グリットで足場を直接組む方が理想であり、効率もいいのです。
しかし、必ずしもそのようには最初からいきませし、安全を第一に考えれば必要なところには補助的に材をとして足場を確保しなければなりません。
また、足場が出来上がってからは、体を支える手すりが必要です。これには安全ベルト等を引掛けておく必要もあるからです。
このような安全上の材は骨組みの一部として組み込んでも良いですし、必要がなければ後から間引くか、引き抜きにくければ切り落とせば良いでしょう。
このような補助的な骨組みの組み方は、技術的というより経験から学ぶものだと思います。それから作業的にはかなり困難ではあるにしても、この作業から徐々に体の柔軟さとバランス感覚も養われてくるものです。

さて、先のワークショップでは、ダヴィンチ・グリットの最も重要な点であるの最小単位を制作し、その原理を体感することにしました。

右回り
最小単位は三角形の骨組みです。組み方は材の端部が互い違いになっています。
しかも、三角形をなす頂点のいずれも規則的に交差しています。
これが第一原則で、ダヴィンチ・グリットが別名Reciprocal Grid(相互に組み込まれた格子) またはReciprocal Frame といわれている所以です。
左回り
第二の原則は、部材を組む規則性には右左の二つの方向があるということです。
図中の矢印で示している様に、材の端が回転しながら同様の交差を繰り返しています。
これをデザインや幾何学では回転対称といい、余談ながら家紋の意匠にはこの性質が頻繁に用いられています。
この回転方向、最初にどちらかの方向を決めたら最後に骨組みを閉じるように組終わるまで同じ方向で組んでいきます。組んでいる途中、逆の組み方を入れ込むと、規則性が崩れて作業効率が途端に悪くなると思います。
曲率の変化
第三の原則は、グリットの大きさを変えることで骨組みの輪郭を調整するということです。
主にグリットは三角形ですが、三角形の頂点が五つや六つとなることがあります。
場合によっては四つとか七つもあるでしょう。
しかし、調整のしやすさは三角形です。三角形を小さくすればそれだけ構成する部材が傾斜していきます。逆に大きくすればするほど、その傾斜がゆるくなり限りなく平面に近づいていくのです。
この性質に従えば、三角形の頂点をなす部材の端部は常に外方を取ってください。要するに組立作業は常に内側より行なうので、部材の端部は図で示すように外側に来るようにします。
そうすることで骨組みに凸面を形成し、緩やかなカーブを描く輪郭を形成することができるのです。
この凸面の曲率の調整は三角形のグリットで行なう他、それ以外の多角形のグリットでもできます。
また、その多角形も辺の長さを同じくして角数が増えるほど、相対的に平面に近づいていきます。
加えて、部材の太さによってもある程度調整できます。
しかし、この2点の感覚はある程度の経験を通して理解できるものかと察します。
当面慣れるまでは、多角形のグリットは六角形もしくは五角形で落ち着くものです。

連結の数
六角形のグリット構成よりも五角形のそれの方が曲率が高い
最後に、樹上にて骨組みを組み立てる場合、ある程度地上において三角形のグリットを組んでおくほうが良いでしょう。これを樹上に持ち上げて連結していくと作業効率がいいのです。
この三角形のグリット同士は、隣り合って連結はできません。それは、隣り合うグリット同士が部材を共有しながら連結しているためです。そのためてある程度余裕の長さで切った部材を同時に樹上に持上げておきます。
図中、破線で示した箇所が単独でつなぐ部材です。一人で作業する場合、部材の端部のどちらかをゴムバンドで仮固定すると良いでしょう。ある程度足場や手すりが出来上がって安全な体勢が確保できてからは2人作業で進めると効率が良いでしょう。

後、付け加えておかなければならないことが1点ありました。三角形のグリットの大きさですが、入り口以外下方を向くグリットは、そこから人が落ちない程度の大きさにとどめておくべきです。




2010年10月12日火曜日

システム型ツリーハウス、その原型作り

ここしばらくほとんど森に行ってません。これから活動するには快適な季節に入ろうとしているにもかかわらず。
じつは先月末より、奥三河で開かれるイベント「アートの森」出展の作品制作に追われているのです。

「アートの森」といったテーマなら、本来は山の中でワークショップでも開きツリーハウスをつくるのが個人的には本望ですが、それはずっと先のことになりそうです。作品は、色々制約がある中、先々ツリーハウスにも転用できる内容におさめておきました。
システム型のツリーハウスをつくる原型を今回データとして算出しておいて、後々役立てようと思っているのです。
それで、今回手掛けるのは球形のジオデシックタイプ、その最も小さいパターンにしました。
以前示したシステム型の一つは右の画像ですが、これとは異なる形です。

最初に示したシステム型のあるパターン
今回、骨組みは完全に球を内接するので籠状のボールのような形となります。
右の画像がその通称ジオデシックパターンの一例で、その模型です。
軸数120本構成
今回そのパターンの中でも最も軸数が少なく小さなサイズ(90本構成)になる形を選びました。
軸数90本構成
この形の軸を延長し、自立させます。写真右はその一部を示しています。これにかなり変容を加えたものが左の小さな模型です。
不鮮明でわかりにくいので、それを拡大した写真を次に示しましょう。
軸足延長による三角形の支柱で自立するドームとなります。
このあたりまでが私的にはアートとなります。

これにさらにデザイン的な視点から機能を見い出す作業が加わります。
私的には骨組みに植物をつたわせて緑化ドームを演出するのがねらいです。

正面画像、とはいっても入り口は5箇所あり、かなり開放的
つる状に伸びる植物なら何でもかまわないのです。
この場合、ガーデニングではパーゴラといいますが、通常は矩形で藤棚として知られているものです。庭に木陰を作り、夏の日差しを避ける役目をします。
くわえて、植物は花が咲くほうがよろしいです。
アーチ状のパーゴラでは、つるバラをつたわせて庭を美しく飾り立てるのが一般的です。

今回のようなドーム型のパーゴラは高価なこともあって少ないですが、バラの花で覆われたドームは想像するだけでワクワクします。ましてやドームの中から上を眺めるとバラの花がうつむき加減に咲き乱れ、かぐわしい香りが漂うなか、木漏れ日が落ちるラウンドテーブルでひと時のティータイムを過ごすのは最高の贅沢ではないでしょうか。
真上から見たところ。つるを誘導しやすいグリット

2010年9月23日木曜日

ツリーハウスをつくる土地の問題

ワークショップの参加者と出会い、ツリーハウスをつくるには技術的な面だけでなく、最初の取り掛かりで、どうしたら森や里山で自由にツリーハウスを作れるかといった、極めて社会的な面もハードルとなっているのを感じました。
その点、私の場合管理者であるフリースクールの方にまかせっきりで、何の苦労もしてないので参加者の皆さんには適切なアドバイスができなかったことが反省として残っております。

あれから気になりその点を調べてみました。それぞれの地域で多少の違いはあるものの、基本的に国定公園などでは勝手に建造物は作れないそうです。ツリーハウスもその類に入り、違法となるそうです。
コミュニティーの相談でこんな内容があったので詳しく知りたい方は参考にしてみてください。http://okwave.jp/qa/q138437.html
土地を買うのはたやすくありません。そうなると、やはり山を所有している人と故意の仲になり土地を借りる他ありません。
場合によっては、間伐作業を自主的に行ない森を整備することを条件に提示すればほとんど謝礼程度で借りられる可能性もあります。
私どもフリースクールの入っている森も以前は棚田があり、杉の植林が行なわれていました。しかし経済成長以降放置され、その後はまったくのジャングルと化しておりました。すでに整備を始め10年が経過していますが、このように放置された山は各地でたくさんあります。高齢化や過疎化などでむしろ困っている村もあるかと思います。

ツリーハウス作りの準備は森の整備、すなわち間伐を中心として森の木々を潜在的自然植生に変え、維持していくことから始まります。このようにして森を再生することのみかえりは必ずあるかと思います
同じ志を持った仲間を集い、森の再生、ひいては人間再生の場をつくることをツリーハウスの目的にしてみるのもいかがでしょうか。
マント群が覆い日の当らなくなった森

間伐材で組んだツリーハウスの周囲は明るい

2010年9月19日日曜日

ワークショップ

本日は、関西方面からの参加者によるワークショップです。
秋とはいえ、まだ暑い日が続いております。しかし心地よい風が汗で乾かしてくれます。

ツリーハウスや森での作業などほとんどの人は初めてです。
私の伝える内容も人類が始まって以来(今年に入って)ほとんど最初です。
何をどう伝えるか、伝えられるか。昨日は考えておりました。

最も中心となるところは骨組みの組み方ですが、それは技術的な視点からです。むしろ潜在的な中心は、人だけでなく森を含めた範囲にまで意識を拡大することにあります。それによって自然とのつながりに広がりを感じるときが来ることを願っています。
そんなわけでツリーハウス作りの技術的な作業を通してスピリチュアルな話題にも話が及びました。

このブログでは、読者の方に有益な情報としてなるべく技術的な事がらを提供していこうと思っております。しかし、それと同時にそのようなアイデアや森で生きる術がどのような背景で創出されるかも私なりにまとめ伝えていきたいと願っているのです。

2010年9月18日土曜日

板葺きのルーフィングⅡ

波形シートをはがしての板葺き作業を始めました。
あらかじめ波形シートのときと同様に板の裏側に添え木取り付け、その次に本体の骨組みに取り付けます。
裏側は無塗装。添え木への板の取り付けは表側より

色の配色はチーク・ベージュ・グリーンを 6:2:1
 この板組は4枚から6枚がちょうど良い重さです。骨組みへの取り付けは、内側よりグリットを通して外側に位置させ、内側の骨材からスリムネジで固定させます。
板組の重なりは、添え木が内側に重なる板の上端に付けばよく、そうすれば隣接する板のすき間が埋まり雨をしのげます。
場合によっては添え木が骨組みと接しない箇所が出てきます。その場合は園芸用のグリーン色の皮膜針金で吊り下げるように固定すればよいです。

以前、セルフビルドによるログハウスの屋根を板葺きで行なった方にお会いしました。その時に聞いた話では、板材が面で重なっているため露がたまり朽ちるのが早いそうです。はがすのも難儀で困っていました。そのため板材の裏側に溝を数本入れ露の流れ道を作っておきべきだったと言っておりました。

本ケースの場合、重なる板材のすき間は本体の形状が曲面を描いているので全面重なりません。そのため前記のようなダメージは避けられます。この点は利得でもあります。
しかしその分、板材の外側端部が松かさのようにすき間をつくるため、強風の場合はがされてしまうおそれがあります。
そのため添え木の固定は、少なくとも、両端の他に中間も加えた3箇所にして強固にすることをお勧めします。

2010年9月13日月曜日

板葺きのルーフィング

結局、この2ヶ月近くほとんど森には行かずじまいでした。
昨年は補修作業があったりでツリーハウスで涼んでいましたが、今年は酷暑とはいえ、樹上ではそよ風が吹けば心地よいとは思っていても、そこまで行く気力さえ出なかったのです。私の住まいから森までは車で40分ほどかかるのですが、エアコンの効きが悪くて耐えられないのも理由の一つでした。
総じて、夏の作業は春の延長で行なったら大変効率が悪いのです。思い切っていかに涼むか思案に暮れていたほうが良いようです。

9月28日は蟄虫戸を閉ざす
さて、そろそろ人間が森で動き出すころです。暦では今月28日は「虫がかくれて戸を閉ざす」と出ています。上のイラストはカレンダーのその日を示しており、気に入ったイラストなので撮っておきました。
デザイナーまでは知りませんが、このドアの色使いが良いのです。

さっそく旧ツリーハウスに生かしてみるよう、直感がひらめきました。
昨年つくったツリーハウスのルーフィングはプラスチックの波形シートで、施工性が容易なので取り合えずこれで良しとしておりました。しかしこの一年様子を見て、ほどほど耐久性はあるものの、風情というか、周りの環境との何らかのバランスに格差があり、違和感を感じてくるのです。これはその物質の持っている存在感というか、波動といった感じのものでしょう。
そこで、板葺きの屋根にして素材を生かしてみよう、それに外観の色を先のイラストのように多彩にしてみようと思い立ったのです。
それに加えこの一年の様子見で、このツリーハウスの主木はまだまだかなりの重量に耐えうるものと判断できたからです。

今日は野地板を買ってきて、色の配色を試みました。塗料は在庫にあったキシラのほか水性の屋外塗料です。水性が扱いやすいし安価なのでお勧めです。

三色の異なる板材をランダムに配色することで、ツリーハウスの形が単一の色のときよりも際立ってくることを予感しております。
それから板葺きのパターンは、横の水平ラインに目が止まらないように、板を上下ずらし凸凹ラインにします。こうすることで全体の立体形状が強調されます。
あるツリーハウスの本から引用
ちなみに、以前理想とする一例を挙げておきましたが、大体こんな感じです。

2010年7月9日金曜日

風のささやきを聴け



風のささやきを聴けより引用

わたしはチュガチ・アリュートとセミノールの血を引いていますが、赤ん坊の頃に、インディアンではない両親に養女として引き取られました。
両親はわたしにすばらしい家庭を与えてくれましたが、インディアンが白人社会に溶けこむのは容易ではありませんでした。
アリゾナでの小学校四・五年のとき、わたしはクラスの子どもたちからたたかれたり、髪を引っぱられたり、胸をつねられたりしました。まあ、子ども特有の残酷さとでも言いましょうか。そんな子どもたちから逃げ出しては木の茂みに身を隠し、暗くなってから家に戻ったものです。わたしは自分がインディアンであることがうらめしくてたまりませんでした。お風呂に入って、石鹸で茶色い肌の色を洗い流せたらどんなにいいだろうと思いました。

カリフォルニアに引越したとき、わたしは生涯で最高の友に出会いました。それは、家の近くの自然保護地域に立っていた巨大な樫の木です。その木はわたしの避難場所となり、また力にもなってくれました。わたしは毎日その木に登って、何時間も白昼夢を見て過ごしました。彼女にブランディという名をつけ、紙と鉛筆をもってあがっては、枝の上で絵や文章を書きました。
わたしのこの木に対する思いには格別のものがありました。おまえは絶対にわたしを落としたりしないわよね、たとえわたしが落ちても、必ず途中でつかまえてくれるわよね。わたしはよく、そんなことを話しかけたものです。
辛かったティーンエイジャー時代も、ブランディに悲しみを打ち明けては、しっかりと抱きしめ、抱きしめられて過ごしました。ブランディは、たとえ高校の卒業ダンスパーティに、茶色い肌をした女の子を誘ってくれる男子生徒などひとりもいなくても、悩むことはないと教えてくれました。

こうしてわたしはその木と、深い精神的つながりを築きあげたのです。そんなある日、ブランディと一体になる必要に迫られて木のところまで行くと、赤いアリが木全体を覆っていました。わたしはアリが怖くてたまりません。そこで必死に考えた末、わたしは木に、アリを追い払ってくれるようたのむことにしました。するとどうでしょう。アリはほんとうにいなくなったのです。

みなさんは驚くかもしれませんが、わたしは驚きませんでした。それからというもの、わたしがブランディを必要としているとき、アリはいつも姿を消しました。
友人や家族の中には、わたしの頭がおかしいと思う人もいました。
そして、自分がほかの人たちと違うと知ったのもこの頃です。初めて自分をインディアンだと感じたのです。インディアンだからこそ、ブランディとの特別な関係を打ち立てることができたのだと。

人と違うというのはある意味で、気分のいいことでもあります。たとえ白人の世界で育てられても、わたしはやはりインディアンだったのです。
そしてインディアンであるということは、なんとすばらしいことでしょう! 

生まれて初めてわたしは、自分がインディアンであることを誇りに思いました。これを機に、人生もまた変わりました。わたしはクラシックフルートを学びはじめ、今ではインディアンフルートを演奏しています。わたしのフルートは、手作りで、木製です。その木製のフルートに指が触れるとき、わたしはそこにあのブランディlを感じるのです。




木が話すのを知っていますか。
そう、木はほんとうに話すんですよ。
木はお互いにおしゃべりしますし、
注意深く耳を傾ければ、
あなたにも話しかけてきます・・・・
わたしは木からたくさんのことを学びました。
ときには天候のこと、ときには動物のこと、
そしてときにはグレート・スピリットのことを。


ウォーキング・バッファロー(ストーニー族)
風のささやきを聴けより引用

2010年7月5日月曜日

骨組みの組み立て(システム型)

雨が降った後で森の中は大変湿度が高い。幸い今日は晴れ上がり、久々の青い空に山の緑が鮮やに迫る。



骨組み作業は、一番底から始めます。側面からの絵図では分かりにくいですが、規則的には絵図正面右の5本を中心に組むのと同じです。
むしろ、模型の一部を示す方がわかりやすいでしょう。


組む場合、骨組みは皿状になっているのでコーチスクリューで締め付けた後は、軸材をある程度持ち上げておく必要があります。その端部を麻縄で縛り、手すり用の足場材にくくりつけておけばよいです。
コーチスクリューの締め付け、五箇所の内、たいてい最後の一箇所は思うような位置に下穴が来ないので、最初から締め付けは緩めにしておいたほうが良いでしょう。

ここまで一人でもできますが、やはり最低2人で作業したほうが効率は良いです。生木は倍の重量があり、。もう少し材が軽かったら良かったです。

こちらは三角形のモジュールで、前々回、Y氏とともに組んでみました。モジュールは、外側からの位置で置かれているのでコーチスクリューの六角頭は見えません。次回、ばらして樹上に上げ、一本づつつなげていきます。

2010年6月27日日曜日

本来の(森・モリ)作りとは?

雨も降り、森の中は湿度が非常に高い。少し体を動かすだけで汗ばむ。
そんな日だったので、樹の上での作業は避け、森の中にサインボードを取り付けていました。
ボード2枚を2箇所に取り付けるが、本決まりではない。


第一のボード
稲妻のシャーマンこと(ダニオン・ブリンクリー)の言葉
これを取り付けていたら遠くで雷が鳴っていた。
・・・答えてくれたようだ。ありがとうダニオン。
とりあえず引掛けることができたのでこの場所に

海へもどるという運命をたどらない雨水など、一滴もないということを知ってますか?

私たちがやろうとしていることはそういうことなんです。

わたしたちは雨の滴と一緒で、その源、

つまり私たちがやってきた場所に戻ろうとしているだけなんです。



第二のボード
老人クラト『愛とは』何かを語る
宇宙船が上空でとどまっているようだ。
もっと大きなボードにすればよかった。
しかし、これ以上大きいと目だちすぎ。


愛とは、意識の繊細な一成分のことである。

それは、存在の深い意味を、教えてくれる。

愛は、唯一の合法的な麻薬でもある。

間違って、愛が生み出すものを、酒や麻薬の中に、探す人もいる。

愛は、人生において、最も必要な物である。

賢者は、その秘密を、知っていて、ただ"愛"だけを、探した。

ほかの人は、それを、知らないから、"外"ばかりを、探した。


どうやったら、愛が、手に入るかって?


愛は、物質でないから、どんな技術も、役に立たない。

それは、思考や理性の法には、支配されていない。

思考や理性の法が、愛に、従っているのだ。

愛を、手に入れるには、先ず、愛が、感情ではなく、存在であるということを、知ることだ。

愛とは、なにものかであり、実在している、生きている精神である。

だから、我々の中で、目覚めると、我々に、幸福を、そして、すべてのものを、もたらすもの…


どうしたら、愛が、くるように、できるのか?


先ず、最初に、存在していることを、信じること(愛は、見ることはできない。ただ、感じるだけだから)(それを、神と呼ぶ、ひともいる)。

それが、出来たら、心の奥底にある住まい、つまり、ハートに、探すことだ。

それは、すでに、我々の中にいる。呼ぶ必要はない。

来てもらうように、願うのではなく、ただ、自由に、出るように、させてやること、ひとに、それを、与えてやるように、することだ。

愛とは、求めるものではなく、与えるものなのだ。


どうやったら、愛が、手に入るかって?


愛を、与えることによって

愛することによって


「もどってきたアミ」 エンリケ・バリオス 著 より引用




第三のボード

このボードは以前クツナ氏が作業小屋を作った際、その壁に取りつけたもの。
その内容は、あるアイヌのシャーマンがこの森に訪れた際に遺していった言葉。
この山には神が宿り、三つの大きな岩がご神体になっているという。
ここに人間を育てる森を作りなさい。そう言って去っていったそうだ。
ちなみに、ゆずりは学園の名前はここからきている。



『神石のモリ』

生命を産みだす母なる大地 生命をめぐらす父なる太陽

父なる太陽が母なる大地をめぐり、ともに生命の源となる

子は森(母里・モリ)で守り育てられ、人の営み、自然の営み共感を学び、
自立(母離モリ)の準備をする

自立(母離モリ)の時期をむかえた子は山へと登る


山の道は決して一本ではない。学んだことを最大限に生かして山の頂にたどりつくであろう。

父なる太陽の導き、母なる大地の導きに感謝し、子供(少年・少女)は青年として成長し、生きる力を身につけ、一人前の姿となり下山してくるであろう。

父なる太陽 母なる太陽 自然を無視し忘れることは

同時に自然の中の一つである人間の生き方を不自然に導くことになり

命も不自然に導くことになる


ゆずりはの木 母なる大地が生み出し

葉は父なる太陽を平等に受ける様に広がっている

古葉は枯れていくのではない

次の役割として、子を育てる土壌になり

この大地に根を張り

本来のモリづくりを願う

2010年6月22日火曜日

ワークショップ(その2)

ランダム型のプラン(楕円で示す)
今日は学生グループ10名が参加するツリーハウ作りです。
先週のシステム型ワークショップとは異なり、ランダム型で行なっていきます。
そこで、こちらの方はランダム型と呼んでおきましょう。
人数が多いのでこのタイプの方が好都合です。このタイプは前回記述したような細かな設計などなしに大雑把にできます。

以前にも示しましたが、システム型は円形で、その上に楕円で示した方が今回のランダム型です。

当日すでに伐採してある材を周辺からかき集め材料を確保しました。全体の1割程度です。
この分ですとまったく足りないので、その都度徐々に間伐作業を行いながら材を確保するしかありません。
イメージ模型
先ず、皆にイメージ模型を示しおおよその骨組みのパターンを確認してもらいました。目では見えてもまったくそのパターンは理解できません。
これから体で体感して、その感覚が身についていくものです。自転車に初めて乗るのと同じです。

骨組みの最小単位は三角形です。この最小単位をモジュールと呼びましょう。どちらも聞き慣れないい言葉ですが。
三角形のモジュール(最小単位)
このモジュールを作る材は、それぞれの端部が延びています。
その延びた部分を腕と言っておきましょう。
★三角形の1辺とこの端部の比は2:1もしくは3:2ぐらいで始めます。
やっていくうちにこの比は若干変化するぐらいです。
樹上においては、ハウスのかたちを調整しながら作っていくので、三辺とも同じ長さとはかぎりません。
★注意点として、モジュールの骨組みの組付けは右回り、左回りがあります。
すべてのモジュールを同じ回転で組み付けることで全体のハウスが成り立ちます。
この選択を最初の時点で決めます。
★制作の三つ目のポイントは、腕となる箇所を手前にして結束することです。モジュールの画像のようにします。この面がハウスが出来上がる際の骨組みの内側になります。よって、樹上でもこの方向で組んでいきます。
三つのモジュールを組む
樹上ではこのモジュールを連結して三角形のグリッドをつくっていきます。連結箇所は、端部の腕を互い違いに組んでいきます。
そうすることで、腕を各辺とした六角形や五角形が出来上がります。
場合によっては、八角形ができることもあります。

その選択は、グリッド面が作る曲率によります。これについては、樹上に登って作業する段階を待ってから説明したほうが分かりやすいかと思います。

モジュール制作は単純ですが、感覚が慣れていないため戸惑いがちになります。当然ですが最初は何度もお手本を確認しながら作業を行います。
そこで当日は二人一組になって行いました。
二人一組でこのモジュールを作る
この空間の把握に慣れ親しむには若干の時間がかかりますが、確実に高次の感覚が芽生えてくるものです。
・・・直感的にこの時点でバシャールと交信したような気がします。
これに関しては、スピリチュアルな内容なので別のブログで語っております。

その他、足場の制作も平行して行なっていきました。徐々に樹上での作業に慣れていく練習です。安全ベルトの使用方法・足場の確保・樹形の見方などが大切です。
足場材の結束

2010年6月16日水曜日

ワークショップ5日目 その2(設計アドバイス)

ツリーハウスの設計(第一段階)

では、ツリーハウスの骨組みの設計を行なっていきましょう。
骨組みのパーツは60本からなり、全て同じ寸法です。
設定の基準値は、骨組みの材(以下、軸という)の太さで決まります。
それから、ハウスの大きさは、この軸径の値の他、ある程度任意で決めることができます。

先ず、軸が互いに接続する位置決めを算出します。
軸の半径をrと設定した場合の各位置間の数値を記しておきました。

A-A'間は任意に設定できますのである程度大きさを自由にできます。
ここでは推奨値760ミリに収めておきました。
このくらいですと平行に位置する軸同士の間隔Sが680ミリとなり、この軸間を入り口にするのにちょうど良い値です。

入り口は、ハウスの下方向に位置することがベストです。メリットは施工が安全かつ容易であることです。その際、床のスペースが狭くなると思われがちですが、ツリーハウスにおいては床の発想からは脱皮することが重要です。それについては以前述べましたので、ここでは省略します。

軸の全長はB-B'に両端の余裕を残した長さを加えた値です。軸の太さにもよります。
いずれにせよ、実際、直接現物に手を加える前に模型を作り確かめてから行なうべきです。
6ミリから10ミリの丸棒の軸を用いるのが良いでしょう。

BとB'の墨だしは他の位置のように直線上になく、線上から多少ずれています。
これは軸が互いにねじれるようにして交差しているからで、その接点のずれを決める治具をあらかじめ作っておきます。
この時点で、ハウスの大きさが決まりますのでおおよそでも把握しておきましょう。
Y氏の場合、半径22.5ミリなのでそのハウスの直径は2648ミリになります。
ちなみに、材の全長は両端部それぞれ60mmとって、1190mmです。

材の加工
次に軸の加工に入ります。
加工にはあらかじめ位置決めをした治具①を作っておきます。
墨だしを行なう添え木の高さは、軸の半径に治めておきます。この添え木に沿って墨だしします。
またBとB'の墨だしは治具②で行なってください。

実際組み立てる際、左右を識別しやすいよう、この段階で両端のどちらかの小口(切断面)には色を塗っておいたほうが良いです。

下穴あけは、AとA'は貫通させてください。もちろん穴径は木ネジの径を考慮して決めてください。
BとB'の下穴は、ネジの入る3分の1に治めておけばよいでしょう。

穴あけの注意点
墨線を真上に向けて軸の中心を通るように穴を貫通させてください、さもなくばネジの先端が設計値からずれてB・B'に入るか、すでに他の軸がずれていれば入らない結果となります。
この点はかなり正確ですので、きつい場合は緩め調節しながら行なうことをお勧めします。
組立の時の注意点
墨だし線を常に内側、すなわちハウスの中心に向けて組み立ててください。ネジ締めは常にこの内側からの作業となります。

当日、軸径80ミリの間伐材を使って加工を試みました。間伐材は曲がりもあり、太さもおおよそ80mm前後ですが、とりあえず3本加工し、三角形のグリッドを上手く組むことができました。

2010年6月13日日曜日

ワークショップ5日目 その1(プランへのアドバイス)


ワークショップに参加した大阪のYさんはダヴィンチ・グリットのツリーハウスをつくる予定です。
Y氏の勤務地の学校の敷地内に授業として学生とつくるそうです。

この日は、そのプランについてのアドバイスを行ないました。そして、互いにアイデアを練ることで、プランが徐々に明確化していきました。

学校の敷地内の一角にある落葉高木スズカケノキが主木です。
幾本か立っている内の3本を用いるそうです。

前回Y氏が参加した際、すでにプランへのアドバイスを求められていたので、さっそく描いたのが、そのアイデア図です。
高さは登りきったところ2.3mほど。樹の間隔は2.5m~3mぐらいで、ハウスの大きさを2.5mです。

Y氏は熱心にハウスの骨組みの模型作りを授業に取り入れ、学生ともども試行錯誤を繰り返したそうです。

当日森の中で、その模型と写真をiPadで鮮やかにみせてくれて、その苦心惨憺たる様子が大変良く分かりました。

設計のことはほとんど話していなかった点、苦労をかけてしまったようです。
実は、システム型の骨組みは厳密な幾何解析を行なった上で、数式プログラムを作り、骨組みが互いに接続する箇所の位置を計算で出します。

まさか、Y氏がそこまで行なうとは思ってもみなかったので、その計算を現行のワークショップ用の設定にとどめておいたのです。

Y氏が手に入れた材料は径45ミリの円柱状の材(檜)です。何でも合板を作る際に剥ぎ取った残りの心材で、森林組合から手に入れることができたそうです。この様な均一な材が手ごろな値段で手に入ることは予想もしておりませんでした。
もっともベストな材といえましょう。もう少し太ければ強度は高いですが想いは奇跡を呼ぶといえましょう。

骨組みについてもほとんどウェブ上では触れてきませんでした。すでにワークショップ用に模型をつくってあるのですが、あいにく森のツリーハウスに置おきっぱなしで写真もとってありません。むしろY氏の記録の方が充実してます。

左の図がその骨組みです。平行に位置する材が規則的に組み合っており、三つの軸が交差して三角形のグリッドを、その反対方向の軸端部が五つ交差することで五角形のグリッドを形作ります。
材料が比較的軽ければ、この三角形をなすグリッドをユニットとしていくつもあらかじめ作っておき、そのあと互いに組み立てても良いでしょう。
今回のワークショップのように径80mmで長さ1.5mとなると重くなるので1本づつ組み立てていきます。

ところで、以前この骨組みを応用してパーゴラを作ったことがありました。材は角材なので接続はかなり手の込んだ設計となり、専用のコネクタを鉄鋼所で作ってもらいました。
地面の上ではこの様な設計になりますが、やはり樹上では前者の案がふさわしいと思います。

ツリーハウスではそもそも床の必要性は少ないように感じます。
むしろ、平面上の箇所は樹形に同調する、すなわち幹の方向性に左右されるのが良いのではないかと思っております。

また、Y 氏の場合、今回のワークショップで行なったようにハウスの固定方法を樹の股を利用するやり方で行ないたいとのことです。

あたしも色々なケースがあるのでその固定方法を考えてみました。
以下、Y氏へのアドバイスからの引用です。
足場材の水平は幹の股から股にかけるとどうしても傾くので、どちらかの材の端部、すなわち股の上に傾斜差分の材をかますと良いでしょう。もちろんかまし材①と足場材はネジで止めて転ばないようにしておくべきです。

最小単位の三角形の平面の床をつくるので、三点の内で一番高いところを0値にしてそこから始めます。あまりにも差がありすぎて材が傾くようでしたらかまし材をサンドウィッチ工法であらかじめ作っておくべきでしょう。


なお、三角形の頂点にあたる足場材の接合では材を半分に切り込んで互いに組まざるを得ません。これでは強度的には大変弱くなります。お勧めできません。
次の方法が今のところ思いつくところのベストです。
言葉では、説明しにくいのでまた絵図を添付して説明します。

樹の股の向きにもよりますが、かまし材①の両端に左右の2本の足場材を載せる方法です。
図中のかまし材①の高さは股の高低差で調整します。