2010年6月13日日曜日

ワークショップ5日目 その1(プランへのアドバイス)


ワークショップに参加した大阪のYさんはダヴィンチ・グリットのツリーハウスをつくる予定です。
Y氏の勤務地の学校の敷地内に授業として学生とつくるそうです。

この日は、そのプランについてのアドバイスを行ないました。そして、互いにアイデアを練ることで、プランが徐々に明確化していきました。

学校の敷地内の一角にある落葉高木スズカケノキが主木です。
幾本か立っている内の3本を用いるそうです。

前回Y氏が参加した際、すでにプランへのアドバイスを求められていたので、さっそく描いたのが、そのアイデア図です。
高さは登りきったところ2.3mほど。樹の間隔は2.5m~3mぐらいで、ハウスの大きさを2.5mです。

Y氏は熱心にハウスの骨組みの模型作りを授業に取り入れ、学生ともども試行錯誤を繰り返したそうです。

当日森の中で、その模型と写真をiPadで鮮やかにみせてくれて、その苦心惨憺たる様子が大変良く分かりました。

設計のことはほとんど話していなかった点、苦労をかけてしまったようです。
実は、システム型の骨組みは厳密な幾何解析を行なった上で、数式プログラムを作り、骨組みが互いに接続する箇所の位置を計算で出します。

まさか、Y氏がそこまで行なうとは思ってもみなかったので、その計算を現行のワークショップ用の設定にとどめておいたのです。

Y氏が手に入れた材料は径45ミリの円柱状の材(檜)です。何でも合板を作る際に剥ぎ取った残りの心材で、森林組合から手に入れることができたそうです。この様な均一な材が手ごろな値段で手に入ることは予想もしておりませんでした。
もっともベストな材といえましょう。もう少し太ければ強度は高いですが想いは奇跡を呼ぶといえましょう。

骨組みについてもほとんどウェブ上では触れてきませんでした。すでにワークショップ用に模型をつくってあるのですが、あいにく森のツリーハウスに置おきっぱなしで写真もとってありません。むしろY氏の記録の方が充実してます。

左の図がその骨組みです。平行に位置する材が規則的に組み合っており、三つの軸が交差して三角形のグリッドを、その反対方向の軸端部が五つ交差することで五角形のグリッドを形作ります。
材料が比較的軽ければ、この三角形をなすグリッドをユニットとしていくつもあらかじめ作っておき、そのあと互いに組み立てても良いでしょう。
今回のワークショップのように径80mmで長さ1.5mとなると重くなるので1本づつ組み立てていきます。

ところで、以前この骨組みを応用してパーゴラを作ったことがありました。材は角材なので接続はかなり手の込んだ設計となり、専用のコネクタを鉄鋼所で作ってもらいました。
地面の上ではこの様な設計になりますが、やはり樹上では前者の案がふさわしいと思います。

ツリーハウスではそもそも床の必要性は少ないように感じます。
むしろ、平面上の箇所は樹形に同調する、すなわち幹の方向性に左右されるのが良いのではないかと思っております。

また、Y 氏の場合、今回のワークショップで行なったようにハウスの固定方法を樹の股を利用するやり方で行ないたいとのことです。

あたしも色々なケースがあるのでその固定方法を考えてみました。
以下、Y氏へのアドバイスからの引用です。
足場材の水平は幹の股から股にかけるとどうしても傾くので、どちらかの材の端部、すなわち股の上に傾斜差分の材をかますと良いでしょう。もちろんかまし材①と足場材はネジで止めて転ばないようにしておくべきです。

最小単位の三角形の平面の床をつくるので、三点の内で一番高いところを0値にしてそこから始めます。あまりにも差がありすぎて材が傾くようでしたらかまし材をサンドウィッチ工法であらかじめ作っておくべきでしょう。


なお、三角形の頂点にあたる足場材の接合では材を半分に切り込んで互いに組まざるを得ません。これでは強度的には大変弱くなります。お勧めできません。
次の方法が今のところ思いつくところのベストです。
言葉では、説明しにくいのでまた絵図を添付して説明します。

樹の股の向きにもよりますが、かまし材①の両端に左右の2本の足場材を載せる方法です。
図中のかまし材①の高さは股の高低差で調整します。


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