当日は、ランダム型の骨組みのパターンを行なってみました。
この方法は実に本能的です。設計図や寸法を測るような前段階を踏まず、直接樹に挑んでいきます。
どんなかたちのツリーハウスになるかは最初から明確に分からなくてもかまいません。おおよそのビジョンがあれば取り掛かかってよいのです。ツリーハウスに適した樹であれば、最終的なかたちは幹の張り具合が決めてくれます。
とはいっても、始めるにあたっては骨組みの原理や組み方・しくみなどの知識や技術が必要です。
今回はこの実践を中心に行いました。
過去ブログではこの骨組みの組み方を試行錯誤で見い出しておりますが、今回ワークショップを機に整理し、順序だてて説明しておきましょう。
図1で示しているように、おおよそ樹の高さ1/3
がハウスの中心だと無難です。
取り掛かりが一番困難かと思います。というのは、何の足場や支えもないところから始めなければならないからです。
ダヴィンチ・グリットで足場を直接組む方が理想であり、効率もいいのです。
しかし、必ずしもそのようには最初からいきませし、安全を第一に考えれば必要なところには補助的に材をとして足場を確保しなければなりません。
また、足場が出来上がってからは、体を支える手すりが必要です。これには安全ベルト等を引掛けておく必要もあるからです。
このような安全上の材は骨組みの一部として組み込んでも良いですし、必要がなければ後から間引くか、引き抜きにくければ切り落とせば良いでしょう。
このような補助的な骨組みの組み方は、技術的というより経験から学ぶものだと思います。それから作業的にはかなり困難ではあるにしても、この作業から徐々に体の柔軟さとバランス感覚も養われてくるものです。
さて、先のワークショップでは、ダヴィンチ・グリットの最も重要な点であるの最小単位を制作し、その原理を体感することにしました。
右回り |
しかも、三角形をなす頂点のいずれも規則的に交差しています。
これが第一原則で、ダヴィンチ・グリットが別名Reciprocal Grid(相互に組み込まれた格子) またはReciprocal Frame といわれている所以です。
左回り |
図中の矢印で示している様に、材の端が回転しながら同様の交差を繰り返しています。
これをデザインや幾何学では回転対称といい、余談ながら家紋の意匠にはこの性質が頻繁に用いられています。
この回転方向、最初にどちらかの方向を決めたら最後に骨組みを閉じるように組終わるまで同じ方向で組んでいきます。組んでいる途中、逆の組み方を入れ込むと、規則性が崩れて作業効率が途端に悪くなると思います。
曲率の変化 |
主にグリットは三角形ですが、三角形の頂点が五つや六つとなることがあります。
場合によっては四つとか七つもあるでしょう。
しかし、調整のしやすさは三角形です。三角形を小さくすればそれだけ構成する部材が傾斜していきます。逆に大きくすればするほど、その傾斜がゆるくなり限りなく平面に近づいていくのです。
この性質に従えば、三角形の頂点をなす部材の端部は常に外方を取ってください。要するに組立作業は常に内側より行なうので、部材の端部は図で示すように外側に来るようにします。
そうすることで骨組みに凸面を形成し、緩やかなカーブを描く輪郭を形成することができるのです。
この凸面の曲率の調整は三角形のグリットで行なう他、それ以外の多角形のグリットでもできます。
また、その多角形も辺の長さを同じくして角数が増えるほど、相対的に平面に近づいていきます。
加えて、部材の太さによってもある程度調整できます。
しかし、この2点の感覚はある程度の経験を通して理解できるものかと察します。
当面慣れるまでは、多角形のグリットは六角形もしくは五角形で落ち着くものです。
連結の数 六角形のグリット構成よりも五角形のそれの方が曲率が高い |
この三角形のグリット同士は、隣り合って連結はできません。それは、隣り合うグリット同士が部材を共有しながら連結しているためです。そのためてある程度余裕の長さで切った部材を同時に樹上に持上げておきます。
図中、破線で示した箇所が単独でつなぐ部材です。一人で作業する場合、部材の端部のどちらかをゴムバンドで仮固定すると良いでしょう。ある程度足場や手すりが出来上がって安全な体勢が確保できてからは2人作業で進めると効率が良いでしょう。
後、付け加えておかなければならないことが1点ありました。三角形のグリットの大きさですが、入り口以外下方を向くグリットは、そこから人が落ちない程度の大きさにとどめておくべきです。
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